デザイン領域 音をイメージした和紙のオブジェで音楽とコラボレーション

 1970年代に建てられた岐阜市・柳ケ瀬の古いビルが、この4月にリノベーションされ「岐阜ビル」としてオープンされています。岐阜ビル1〜2階部分はレンタルスペース、スタジオ、テナント等、人が集まる場として設計されており、その場所で2021年10月31日「弦楽四重奏×暮らしのアート×食×人」を楽しむ「LE PROJET à GIFU」(ル プロジェ ア 岐阜)というイベントが開催されました(主催:ビヤン ビヤン リトゥメ)。このイベントに、本学 メタル&ジュエリーデザインコース 米山和子教授が和紙で作品を作る作家として参加しており、これにあわせデザイン領域1年生17名が「デザイン基礎演習G」にて制作した和紙のオブジェを会場の装飾として展示。音楽とアンティーク陶器、活版印刷カード、和紙グッズ、珈琲、ケーキとコラボレーションしました。

 デザイン領域1年生のファンデーションのひとつ「デザイン基礎演習G」は、領域を超えたプロジェクトを学んだり実際に参加したりし、研究を楽しんでいる人に直接触れ自分の方向性や時代性について考える演習。その講義の一環で今回のイベントへの参加となりました。使用した和紙は、イベントにともに参加した美濃和紙のWashi-naryさん(丸重製紙企業組合)から提供いただいたもの。抄きはじめの厚さ等不安定な部分や、ロール状に巻きで保管した際の外側部分等を提供して頂きました。
 学生らは、この和紙を使い音をイメージした立体作品を制作しました。和紙の柔らかな色合いに、鋭角的に切り込みの入ったスタイリッシュなもの、ちぎったり皺を入れたりと紙の素材感を生かしたものなど、さまざまな作品が揃いました。
 当日の朝、メタル&ジュエリーデザインコース3年生2名、1年生2名が会場を訪れ、天井から100を越えるオブジェを設置しました。設置してみると、空調で作品がゆるやかに揺れ、想像していた以上に有機的に見えます。照明の色合いも大きく影響し、白から電球色にするだけでも大きく印象が変わります。改めて無地白色の和紙の面白さを感じます。
 米山先生も、和紙をカーテンのようにした作品を展示。米山先生の作品といえば手漉き和紙を使った印象がありますが、今回はWashi-naryさんの機械抄きの薄い和紙を使ったもの。隣接するビルが迫る大きな窓が、自然光を取り込む柔らかな背景となりました。

 カフェのコーヒーの香りとさまざまなオブジェに彩られた心地良い空間での弦楽四重奏のコンサートは大盛況、お客さんを魅了しました。コンサートの中では、オブジェと本学についての紹介もあり、終了後には作品の写真を撮るお客さんの姿も見受けられました。
 こうして社会の中で自分の作品が受容されることを見るのは、学生にとって非常に大きな経験になったのではないかと思われます。