テキスタイルデザインコースでは「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」と銘打ち、学生が有松絞りの技法を学びオリジナルデザインの手ぬぐいを制作し、販売までを行うプロジェクトを実施しています。2022年6月4日(土)、5日(日)の二日間、第38回有松絞りまつりにて、販売ブースを設けて実際に制作した手ぬぐいを販売、完売しました。有松絞りまつりは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により開催中止が続き、今回は3年ぶりの開催。開催を待ちかねた絞りファンが詰めかけ、浴衣姿の人など大勢の来場者で賑わいました。
学生らは2チームに分かれ、商品のコンセプトを考えブランドを設定しそれに合わせて手ぬぐいをデザインして制作。販売するブースもそれぞれのブランドに沿って考えられています。2つのブランドは、カラフルでありながら落ち着きや自然や四季を連想させる「木洩レ日」、絞りとしては珍しいダークな色調で大人っぽさやシックなイメージの「Varigent」(various、gentleなどからの造語)。「木洩レ日」では、販売員は手ぬぐいを縫い合わせて作った晴れやかな衣装をまとい、ショッパーは紙袋に穴を開けて中が見えるように考案、本をイメージして、手ぬぐいの端切れで作ったデザインコンセプトを記した栞を添えるなど、カラフルでありながら素材を感じる凝った作りに統一されています。対して「Varigent」は、洋酒をイメージして、黒のシャツと手ぬぐいで作ったネクタイで衣装を揃え、黒の袋にブランドロゴを白でいれたショッパーと大人っぽくシックにまとめられています。シャツの胸にVarigentのロゴが入っていますが、大学のデジタルファブリーケーション工房のデジタル刺繍ミシンを活用したもの。ショッパーのロゴもシルクスクリーンでプリントと、さまざまな技法と技術を取り入れて作られています。どちらも完成度が高く、ブランドイメージをうまく表現しています。
店舗では、カラフルな衣装に目を留め作り方を教えて欲しいというお客さんや、珍しい色調に足を止める男性客など、ねらい通りに多くのお客さんを集めていました。また今回の販売実習では、手ぬぐいを活用したファブリックボードを学生が提案、一緒に販売するなど新しい展開も見られました。
店舗ブースのほか、絞りの実習でお世話になっている張正さんでも手ぬぐいを販売させていただきました。こちらも多くのお客さんが訪れ、商品について説明するなどたくさんの方々と交流することができ、非常に良い経験となりました。
好天にも恵まれ、「木洩レ日」は日曜の午前中に全商品を完売、「Varigent」は学生の頑張りもあって、終了直前に完売になりました。学生らも充実した面持ちでした。有松絞りまつり2年間のブランクもあってか有松全体の商品が若返った印象もあり、Tシャツや学生らが作るようなカジュアルな手ぬぐいを置く店舗も増えてきた印象です。特別客員教授 村瀬弘行氏のブランド「suzusan」をはじめ本学OGの「まり木綿」など、新しい感覚の絞りが認知され今後さらに広まっていくことを予感させることとなりました。