未来のために
芸術は、自身から湧き出るクリエイティビティによって誰かに幸福を与えられる、とても魅力的なものです。しかし私は、音楽・アートイベントのプロデュースを通して、作品を素晴らしいと感じる思いと作品を手に入れる行為の間には、大きな隔たりがあると感じました。そのため、幸せを体感できる芸術をより身近なものにさせるためにも、その大きな価値を社会に広めていく必要があると決意に至りました。
2024年4月より学長に就任したわけですが、私は芸術大学の教員として学生には社会と接点を持つ重要性を説いています。例えばアートフェアでは学生の作品を展示・販売することで、学生にアートの価値を体感させたり、社会経済を肌で感じさせたりしています。AI技術が日常生活に参入する昨今、社会に求められるのは感性やセンスの鋭い人です。それらは生まれ持った才能ではなく、知識や経験の蓄積から磨かれるものです。芸術大学で学ぶことで感性やセンス、クリエイティビティを磨き、幸せを呼び寄せる芸術の未来を牽引する成功者になって欲しいと願っています。
名古屋芸術大学 学長
來住 尚彦(きし なおひこ)
1985年 早稲田大学理工学部卒業後、東京放送(現TBS ホールディングス)入社。オーディオエンジニア、音楽番組制作を行う。96年T BSが経営するライブハウス「赤坂BLITZ」立上げ、支配人就任。全国ツアーコンサートのプロデュース、演出を行う。2008年エンターテインメントエリア「赤坂サカス」を立ち上げる。15年TBSホールディングスを退社し一般社団法人アート東京を設立。 東京、京都、大阪などでアートフェアを企画、プロデュースする。