2024年度 Art & Design Center 企画展『メンガーのスポンジ展』のお知らせ
2024.10.30~2024.11.18
展覧会
この度、名古屋芸術大学 Art & Design Centerでは、10月30日(水)から「メンガーのスポンジ」を開催します。
本展のタイトルとなっている「メンガーのスポンジ」とは、数学者であるカール・メンガーが発案した、立方体に穴を空けたフラクタル図形の一種です。理論上は存在するものの、実際にそれを完璧に作図・製作することは不可能であり、概念上のみ存在するイメージとして知られています。その構造体に規則的に穴を空けることを無限に繰り返すと、体積は限りなくゼロに近づきつつも、表面積は無限に拡大するという現象が起こります。そんな不思議な文脈を持つ図形の名称を本展のタイトルとした理由は、「メンガーのスポンジ」のフラクタル次元が計算上2.7268330278と導き出される点にあります。数式では「log20/log3=2.7268…」と表現されますが、とはいえいったん数学的な部分から距離を置き、この非整数自体からキュレーションの遂行を試みました。馴染みのないその実数とともに再び芸術作品を眺めてみると、漠然とした平面以上立体未満という領域およびその形式に新たな切り口を与えられるのではないか。2.5次元という括りが完全に別の文化圏を表象するようになった昨今、パフォーマンスやインスタレーションといった一回限りの展示性とは対照的に、ある程度の自立性を内在しつつも、「2.0000000000次元(平面)から0.7268330278次元程度」に様々なベクトルで拡張を試みる6つの芸術的実践を紹介します。
堤拓也(本展キュレーター)
開催概要
名古屋芸術大学 Art & Design Center 企画展
「メンガーのスポンジ」
[出品作家]
小笠原周 吉田芙希子 周逸喬 向井詩織 松元悠 小宮太郎
[キュレーター]
堤拓也
[日時]
2024年10月30日[水]-11月18日[月]
12:15-18:00 土曜日は17:00まで
日曜休館/入場無料
※芸大祭の11月3日(日)のみ開館。11月16日(土)臨時休館。
[イベント]
2024年10月30日(火)17:00-18:00
オープニングパーティー / Art & Design Center West にて
[NUA ART SHOP]
出品作家の小作品とグッズの販売
[会場]
名古屋芸術大学 Art & Design Center West
[アクセス]
名古屋芸術大学 Art & Design Center West(西キャンパス B棟1F) 愛知県北名古屋市徳重西沼65
名鉄犬山線(地下鉄鶴舞線乗り入れ)徳重・名古屋芸大駅下車
・西キャンパス→西に約1000m 徒歩13分
主催 /名古屋芸術大学 Art & Design Center
企画 /名古屋芸術大学 芸術学部 美術領域 現代アートコース
協力/秋吉風人、田村友一郎、吉田有里 (名古屋芸術大学 芸術学部 美術領域 現代アートコース)
問合せ/名古屋芸術大学 Art & Design Center West
愛知県北名古屋市徳重西沼65
TEL. 0568-24-2897 MAIL. [email protected]
出品作家
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小笠原周
1985生まれ、2008年京都造形芸術大学彫刻コース卒業。2014年に彫刻特化型シェアスタジオ・山中suplexを立ち上げる。幼少より少年漫画に影響を受けて育ち、大学時代に石を彫る行為に関心を持つ。
漫画表現をモチーフに制作を続けてきたが、人生が進むにつれ、ゆるやかに作風が変化していき、近年では日本的な平面イメージと、西洋的な立体感の折合いとして、日常を切り取ったレリーフを石彫している。主な展覧会に、2024年「おまえのための///」(堀川新文化ビルヂング)、2023年個展「魂の剛体術」(棒ビル )、2022年「問題のシンボライズ~彫刻・身体・男性性~」(ホテルアンテーム京都)、2019年個展「小笠原周凱旋 EXHIBITION 尼崎の伝説の彫刻」(尼崎城址公園、尼崎観光案内所)など。
2018年第一回尼崎市文化未来奨励賞、「ゲンビどこでも企画公募 2018 展」五十嵐太郎賞受賞他。 -
吉田芙希子
2013年京都市立芸術大学 大学院美術研究科 絵画専攻油画を修了。
自ら線で描いた美青年像をもとに半立体の作品を制作している。美青年に対しての個人的なリアリティを、物質感と「私」の関係性の中で模索している。主な展覧会に、2023年個展「常世の押し型」(MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w)、2021年「美男におわす」(埼玉県立近代美術館・島根県立石見美術館/埼玉・島根を巡回)、2018 年「第21回岡本太郎現代芸術賞展」(川崎市岡本太郎美術館)など。 -
周逸喬
1995年中国生まれ。2021年京都市立芸術大学院漆工修士課程修了。2024年京都市立芸術大学院漆工博士課程修了。異なる文化に根差した特殊なフィギュアを繰り返し表現することによって、生活の中にある断片的な文化現象の面白さと矛盾を表現できる作品を目指し、近年では「蘭花指」や「牡丹」などの記号を漆、平面絵画、バルーンなど、色んな素材で作品を制作。主な展覧会に、2024年個展「緑は太い、朱は痩ける」(京都大丸アートサロンESPACE KYOTO)、2023年個展「周逸喬作品展」(京都市立芸術大学小ギャラリー)。グループ展に「六甲ミーツ・アート2024 beyond」(神戸六甲山)、「ART IJ Contemporary Art Show」(台北/Regent TAIPEIホテル)。2021年清洲工芸ビエンナーレ栄誉賞(韓国)受賞。
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向井詩織
天然染料のブロックプリントを扱った作品をインドと日本の2拠点で制作している。2013年から2年半の世界放浪後、西部カッチ県でテキスタイルを独学。武蔵野美術大学造形学部テキスタイル専攻を卒業したのち、2018年からカッチ県のSufiyan Khatriの工房で滞在制作を行う。本来、それらの工房はムスリム男性だけが働ける環境ではあるものの、テキスタイルアーティストとして単身で乗り込み、ブロックプリントならではのデザインを模索・開発している。また、日本では制作と展示活動を基盤に全国でワークショップや講演などを行いつつ、染料店と協働で「ナチュラルブロックプリントキット」を開発するなど、ブロックプリントを日本に普及させる活動を多角的に実践している。
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松元悠
1993年京都府生まれ。2015年京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース卒業。2018年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻版画修了。2021年からNHKや時事通信社など関西をベースに法廷画を担当する。主な展覧会に、2024年個展「サラバ化物(憶測の追跡)」(茨木市立ギャラリー)、「VOCA展」(上野の森美術館)、2023年「企画展出来事との距離ー描かれたニュース・戦争・日常」(町田市立国際版画美術館)、個展「版画報、道が動く」(越後妻有里山現代美術館 MonET)などがある。
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小宮太郎
2016年京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻(博士)修了。滋賀県大津市の共同スタジオ「山中suplex」メンバー。「みること」の能動性、人の視覚からの認知機能にアプローチしながら絵画や写真作品、高速回転するオブジェや、空間を利用したトロンプ・ルイユ(騙し絵)的なインスタレーションなどを制作。主な展覧会に、2024年個展「Virtual」(MAHO KUBOTA GALLERY)、2023年「FUTURE TO-DAY 今日という未来」(ホテル三日月)、「VOCA2023」(上野の森美術館)、2021年「Soft Territory かかわりのあわい」(滋賀県立近代美術館)、2019年個展「GOLDEN BOX」(Finch Arts)、個展「穴の容態」(Art Center Ongoig) などがある。2024年Art in the House -SanwaCompany Art Award グランプリ受賞 。
キュレーター
堤拓也
1987年生まれ、滋賀県大津市在住。キュレーター、グラフィックデザイナー。 2019年アダム・ミツキエヴィチ大学大学院カルチュラル・スタディーズ専攻修了。 主なキュレーション実績に、国際芸術際「あいち2022」(愛知、2022)、「血の塩、余の光」(東京・京都、2021年)、ドライブイン展覧会「類比の鏡」(滋賀、2020年)など。展覧会という限定された空間の立ち上げや印刷物の発行を目的としつつも、アーティストとの関わり方に制約を設けず、自身の役割の変容も含めた有機的な実践を行っている。
Art & Design Center(名古屋芸術大学 西キャンパス内)
- 住所:
- 〒481-8535 愛知県北名古屋市徳重西沼65番地
- TEL:
- 0568-24-2897
- Email:
- adc・nua.ac.jp
- ・を@に置き換えてください。