NUA Records 『American Composers Selection』 が配信開始されました!
2024.07.19
音楽領域
2024年7月19日 NUA Records 『American Composers Selection』 が配信開始されました。
ぜひお聴きください!
American Composers Selection
アルバムコンセプト (プロデューサー担当 / 3年 レッケ・デニス)
このアルバムは、近現代のアメリカの吹奏楽作曲家に焦点をあてたセレクションです。収録曲は20世紀中期に活躍したクロード・トーマス・スミスの代表作の一つである「ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲」、 オーケストラや吹奏楽曲をはじめ、合唱曲、室内楽など様々な分野で作曲を行なっているフランク・ティケリの「アメリカン・エレジー」と「ワイルド・ナイツ!」、100曲を超えるマーチを作曲したマーチ王、ジョ ン・フィリップ・スーザの「美中の美」といったアメリカ生まれの名曲を取り上げています。録音は2023年10月14、15日の2日間に渡り本学ホールでセッションレコーディングの形式で行いました。収録は、本学サウンドメディア・コンポジションコースの学生が担当し、事後の編集、ミックス、マスタリングも、学生達が担当しました。本作品は、通常ステレオのみではなく立体音響フォーマットであるドルビーアトモスでも制作しました。ドルビーアトモス版はまるで指揮台に立っているかのようなサウンドをコンセプトにミックスし、通常ステレオ版とは、異なる音楽の響きの体験ができます。学生によって作り上げられた作品をお楽しみください。
ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲 / C.T.スミス(ディレクター担当 / 3年 中野 百香)
この曲は、ワシントンの海兵隊軍楽隊の委嘱によって1984年にC.T.スミスによって作曲されました。海兵隊軍楽隊には、指揮者、ジョン・ブージェワー大佐がいましたが、スミスは、16世紀のフランス人の作曲家ルイ・ブルジョワが作曲した詩篇のなかにあるメロディを用いて、変奏曲としてこの曲を作曲しました。このメロディは随所に軸になっていて、楽器やその形を変えながら登場します。全てのセクションに高い技術が要求される難しい曲でしたが、より良い演奏を求めてテイクを重ねました。録音していった際、自身のディレクションで演奏がどんどん素晴らしいものになっていく様子に心が震えました。そんな中で生み出された、 煌びやかな音色、色彩を感じるハーモニーにぜひ注目して聴いて頂けたら嬉しいです。
アメリカン・エレジー / フランク・ティケリ(ディレクター担当 /3年 日比 奏妙)
この作品は、コロンバイン高校銃乱射事件で命を落とした人々を追悼し、生存者を称えるために作曲されました。「エレジー」という意味は悲哀の情をテーマとする楽曲という意味があります。ただこの曲は悲哀よりも希望を感じさせる部分が多いように感じます。どこか悲しみが残りつつも穏やかな雰囲気の中に、訴えかけるようなフレーズがいくつも登場します。そして、美しい旋律と感動的なクライマックスには心を動かされ、今を生きている人々を勇気づけてくれる、そんな素晴らしい作品だと思います。つまり、人生は悲しいことばかりじゃない。希望を持つことで嬉しいことや楽しいこともきっとある。限りある命を希望を持って生きてほしい。ティケリはそのようなことを伝えたいのではないのでしょうか。この楽曲、アメリカン・ エレジーを通して命の大切さ、希望を持つ素晴らしさをぜひ感じてもらえると幸いです。 また、この作品の中間部では、トランペットのバンダ(オフステージ)での独奏があります。このバンダでの演奏表現は、この事件で亡くなった方々への「祈りと追悼」であると考えドルビーアトモス版では、正面ではなく「特別な場所」に定位しました。ぜひドルビーアトモス版でその場所を探してみてください。
ワイルド・ナイツ! / フランク・ティケリ(ディレクター担当 /4年 吉田 光太)
私はこの曲を初めて聴いた際、大海原を進む船の上にいるような気持ちになりました。一隻の船の上に夢や希望を乗せ、嵐の中をも突き進む。この曲をレコーディングするにあたり、そんな力強さを表現したいと思いました。そのアプローチの一つとして、曲をストーリーとして捉え、自分の考えたセクション毎に録音していきました。時には激しく、時にはやさしく。そんな一つ一つの感情の起伏、その表現はまさに自分にとっての冒険でした。この曲の元となったとされるエミリー・ディキンソンの詩には「Were I with thee, Wild nights should be Our luxury!」とあります。「あなたと一緒ならワイルドな夜も贅沢になる。」そんな嵐の夜を、この曲の持つ力強さをぜひ感じて欲しいです。
美中の美 / J.P.スーザ(ディレクター担当 /3年 関谷 百加)
この作品は、作曲者であるジョン・フィリップ・スーザが、ある博覧会で出会った一人の美しい女性を思いながら作曲した行進曲です。タイトルの「美中の美(The he Faierst of the Fair)」は、美人の中の美人という意味でもありますが、タイトルにもある“fair”は美人の他にも博覧会という意味があり、「博覧会の中でもっとも素晴らしい博覧会」という意味にもなります。私はこの曲を聴いて上品でありながらどこか愛くるしくキラキラしている高嶺の花の様な女性と、博覧会への期待感を思い浮かべました。ときめき、心が浮ついて楽しい、そんな青春のような気持ちをこの曲に込めたいなと思いレコーディングをしました。ぜひ二つの意味を持つときめきの感情をお楽しみください。
アートワークについて(デザイン担当 4年 松野 一登)
アルバムタイトルの通りにアメリカ合衆国の国旗をイメージしたデザインになっています。このアルバムに収録されている4曲それぞれの持つ悲しさや、美しさ、強さを色に乗せ、アルバム全体の雰囲気にふさわしくなるようにデザインしました。
吹奏楽:名古屋芸術大学ウインドオーケストラ
指揮:遠藤 宏幸(名古屋芸術大学 准教授)
1. C.T.スミス:ルイ・ブルジョアの讃美歌による変奏曲
2. フランク・ティケリ:アメリカン・エレジー
3. フランク・ティケリ:ワイルド・ナイツ!
4. J.P.スーザ:美中の美
収録 : 2023年10月14日,15日 名古屋芸術大学ホール
収録チーム
プロデューサー : レッケ・デニス
ディレクター : 中野 百香・日比 奏妙・吉田 光太・関谷 百加
バランスエンジニア : 深井 龍心・ 平野 祥吾・大林 柊貴・佐々木 勇午・加藤 夕稀・神谷 葉月
前川 美帆・柿木 美祐・中村 颯汰・内田 千翔・大角 琳・勝山 裕子
アートワーク:松野 一登