今、何をしていますか?
グラフィックデザイナーとして、2次元に関することはなんでもやります。それからアートディレクションですね。自分としては手を動かして絵を作るほうが本業と思っていますが、デザイナーとしてもディレクターとしてでもビジュアルに関しての責任を持って舵取りしていきたい気持ちがあり、場合によってはアートディレクターも名乗っています。
卒業してからはどんな仕事を?
学生時代はテキスタイルデザインコースを専攻し、昼はテキスタイルを学び、夜は家でグラフィックをやる、そんな学生生活でした。就職の希望はグラフィックデザインのほうで、就職活動で面接を受けたとき、作品が少ないと指摘を受けました。テキスタイルの作品とグラフィックの作品の両方をやっていたので、グラフィックを専攻してきたほかの学生にくらべ作品が少なかったわけです。それで、卒業してから半年間、助手というか制作期間をもらって思い切りグラフィックの作品を制作しました。並行して、グラフィックデザインの会社でアルバイトを始め、デザインの基礎的なことを教えてもらいました。当時、ブログをやっていて、そこで名古屋の気になるデザイナーの方と交流するようになり、一緒に仕事をするようになりました。仕事のかたわら、自分たちをアピールするためコンペに作品を出したり展覧会を開催したり、いろいろなことをやりました。東京TDCや愛知広告協会賞で賞をいただくようになり、代理店さんに見つけてもらって今につながっています。大きな仕事をいただくようになるのは展覧会をやるようになって5年くらいはかかってますね。
名芸を選んだ理由は?
志望していた大学に落ちて(笑)。最初の頃は、東京や京都の大学に劣等感みたいなのはありましたね。ただ、名芸の自由な雰囲気が自分に合っていて良かったと思っています。1年のとき、デザインのいろいろな分野を体験しましたが、それも自分に合ってました。当時、テキスタイルの先輩たちは、テキスタイルアートみたいな作品を作っていて、デザインでありながらアートっぽいことができる自由さに惹かれテキスタイルを選択しました。
大学での経験で役に立ったことは?
1年のときにできた友達が、それぞれデザインの違う領域へ進みました。今も付き合いがありますが、ソファーを作っていたり、空間へ行ったり、映像を作っていたり、すごく幅が広いです。自分の専門だけでは見えないものの見方、デザインを俯瞰して眺めるような、そんな見方ができるようになったのは友人たちのおかげかなと思います。友人を通して、ほかの領域の先生とも親しくなりました。僕はテキスタイルでしたが、授業が終わればプロダクトの部屋へ行くことが多かったです。デザインの仕事をやっていて感じることは、選択肢をどう考えるかだと思うんです。例えばAとB、2つの選択肢があるとします。僕は、仕方なくどちらかを選ぶというのが嫌なんです。AとBを両立できることはないだろうかと考えるようにしています。幅広く見ることで両方を取れるような選択肢が生まれることもあり、そうしたことに役立っていると思っています。
今、ハマッていることは?
子どもがいるのでやっぱり育児かなあ。それから、学生と接するようになって、オタクでもない普通の学生が皆アニメを見ていることがわかり、アニメを見るようになりました。仕事をしながらYouTubeをBGV的につけていることも多くて、経済のことや政治的な意見の動画など、けっこうたくさんの動画を見てます。「中田敦彦のYouTube大学」など教育系の動画や、本を紹介する動画などで紹介されたものを読んでみたり、情報収集に役立ってますね。
名芸を目指す人に一言!
やっぱりファンデーションが良かったです。今では、デザインだけでなく美術や音楽でも総合的なカリキュラムがありますよね。そこで、いろいろな領域に友達がたくさんできたことが良かったです。たくさんの学生がいる中で自分に合った友人を見つけ、それぞれが違うコースに進んでいって、という環境が僕はすごく良いなと思っています。こうして自然と多角的にものごとを考えられるようになり、それが僕にとっては一番の財産です。