いそわ そうたろう
講師
教育学部を卒業し、小学校や高校でも教員の仕事をやっていますね。専門分野はなにになるのですか?
学問分野的には心理学になります。入学した三重大学の教育学部では、大きく分けて教育系と心理系にコースが分かれていて、迷った結果、心理系に行きました。どちらも魅力的でしたが、じつは先生とのつながりで選びました。でも、いわゆる学問領域的な特徴はあまりわかっていませんでした。今思えば教育系を選んでいたら卒論は書けなかったのではないかと思います。心理はデータでものごとを語ることができる分野で、自分にとってよかったなと思います。卒業したときに、先生に声をかけていただき、三重大学の教務補佐員という仕事をしました。1年契約の助手みたいなものですね。しかし仕事として安定しないので、同じ三重大学の事務職員に転職しましたが、当時は教職連携や教職協働などの言葉もない時代で、働き方の違いがわからなくてうまく馴染めませんでした。それで、商売をやっている実家が販売の仕事を本格的に始めるというタイミングだったので、退職して実家へ戻りました。
でも、1年ほどで先生に戻っていますね
実家の仕事を手伝っていましたが、家の中で完結するような仕事で、人とのかかわりが少ないので退屈になってくるんです。それで高校の講師をやり、そのつながりから小学校の臨時的任用講師を頼まれました。そうするうち、やっぱり教育っていいな、という気持ちが再燃してきたわけです。それで、仕事が落ち着き時間もできたので、2013年に大学院へ入り直しました。
そこから大学院に行き順調に教員に?
それが、教員を目指していましたが、採用試験の2次試験で落ちてしまいました。集団討論から集団面接に変わったタイミングで、それに対応できていなかったようなんです。そこで、改めて自分の適性を考えたところ、研究者向きだとなったわけです。普通あり得ませんが、大学院2年生の10月に急遽博士に進むことに決めて、ツテを頼って大阪大学へ行き、今に至るわけです。
紆余曲折あるわけですが、就職や将来の自分のキャリアについてどのようにお考えですか?
まず、ちゃんとやっていればなるようになる というのがあります。そうすれば、転職することにも抵抗がない。むしろ、一発目の仕事でうまくマッチングすることはないと思います。やはり経験することが大事ではないでしょうか。合う合わないというのは、本当にその人の個性や能力は別の次元でなにかあるなと思います。心理学者らしくないですが、タイミングはめぐってくるものでないかなと感じています。
学生に必要なことはどんなことですか?
やはり地力と言いますか、いわゆる汎用的な力と専門的な力、キャリアセンターは「キャリア二刀流」と言ってますが大賛成で、やっぱりそれらをつけていく必要があると思います。 大学で行うのは、やはり学ぶ力の基礎をつけていくと言いますか、自分に必要な力を自分でつけられるようにしていくことを練習していると思っています。
最近は学生だけでなく誰もが間違えたくない、失敗したくないと思っていると感じます。学生は、自分になにができるかもまだよくわからない。どうすればいいでしょう
僕の考えとしては、自分のやりたいことがまず第一で、やってるうちに見えてくると思います。 仮に適性がなかったとしても、違う方向に行くのは、そのときに選択すればいいんです。その選ぶ力が大事で、選ばなければいけないときにそれだけの力を持っていなければいけないですけどもね。選択する力は、調べる力や考える力だったりするわけですが、自分で決断することが重要です。自分で決めたことで後悔するのと、やらされたとか、決めさせられたとかいうことで後悔するのでは、かなり質が違うんです。心理学的にも違っていて、まあいいかと思えるのは自分で決めた方で、恨みに変わるというのは決めさせられた方なんですよ。
最終的に、やることは自己決定です。どうにもならないことで諦めざるを得ないようなケースもありますが、そうだとしても、ちゃんとやっていれば、なるようになるかと思います。