音楽領域

音楽総合コース

中村颯汰

音楽に仕事としてかかわることのできる録音や音響を学ぶため、サウンドメディア・コンポジションコースに入学。その後、続けてきた楽器演奏(テューバ)もさらに理解を深めたいと、音楽総合コースへ転籍。録音を主軸に、奏者についても理解を深め、演奏のレコーディング、制作、ライブ配信などを行う。日本オーディオ協会のイベント「OTOTEN」では、2023年にレーベル「NUA Records」の立ち上げとDolby Atmosで制作した録音についてのプレゼンテーション、2024年には加入するAES日本学生支部から活動を紹介するプレゼンテーションを行うなど、2年続けて登壇。

目標をはっきりもてば心躍る学校

音楽総合コースで入って、録音が中心になっていったという流れなのかな?

今は音楽総合コースなんですけど、もともとはサウンドメディア・コンポジションコースで入学しました。中高6年間吹奏楽をやっていたのですが、楽器を続けられる気がしなくて、それでも音楽を仕事にはしたいなと考えていて、じゃあ録音とか音響ってどうなんだろうと。オープンキャンパスで学校を見て選びました。入ったら、長江先生(長江和哉教授)に良くしてもらって、録音の道にどっぷりです。でも、2年生になるタイミングで、やっぱり楽器も吹きたいなと思い、音楽総合コースならサウンドメディア・コンポジションコースも弦管打コースも取れるし、いいかなと思って音楽総合コースへ変わりました。

レッスンの授業とか増やせるようになるんだよね? 変わってみて、なにか変化はあった?

やっぱりレコーディングって、エンジニアだけで成り立つものじゃないじゃないですか。奏者がいないと。自分が奏者目線に立って、奏者の気持ちを知ることが大事かなと思いました。それから、僕はクラシックを中心にレコーディングをやっているので、クラシックのレッスンや、クラシック音楽ならではの吹き方とかフレーズ感とか、そういったことを勉強できたことがよかったですね。音楽理論とその楽器特有のフレージングをレコーディングで生かせるのがいいんじゃないかなと思っています。
弦管打コースの授業を取ったことで知り合いが増えて、レコーディングを頼まれることが増えました。いろいろできることが増えたのはとてもよかったです。半面、弦管打コースとサウンドメディア・コンポジションコースで両立するのはすごく難しいなと思いました。制作って、レコーディングが主で時間がかかるじゃないですか。楽器も練習しなくちゃいけないし、どちらかに比重をかけるともう片方が疎かになるし、そこが大変です。どうにか頑張って、つじつまを合わせてきました。

トーンマイスターの勉強でドイツへも留学したんだよね? ドイツ語は大丈夫だった?

半年間行って来ました。語学は1年間やって、検定を受けたんです、何回か。でも、1年やそこらじゃ落ちるんですよ、普通に(笑)。なんとか半年乗り切りましたね。大学では基本的にドイツ語なんですが、わからないところは英語で質問したりしました。あと、ドイツで国内を旅行していると、日本人顔なので英語で話してくれることが多かったですね。ドイツ語と英語がスイッチできなくて、なんだっけ?みたいなことによくなっていました。僕は、このドイツ留学が初めての海外で、本当に慣れないことばかりで、大学のコースのコミュニティに入るのもすごく大変だったんですけど、頑張ればなんでもできるなと、いろいろ動じなくなった気がしています。

レコーディングに、演奏に、ドイツ留学、盛りだくさんだね! 入学したときには考えもしなかったでしょ?

ぜんぜんイメージしていなかったです。2年生のときにあったトーンマイスターワークショップ、フローリアンさん(フローリアン・B・シュミット氏)に来てもらったやつですけど、それに参加してやっぱり素晴らしいなと。音楽的な知識もそうだし、技術もすごくいいなと思いました。トーンマイスターの勉強をしたいということももちろんありますが、クラシック音楽をやっているからには、本場で音楽を聴きたいというのもあり、楽器は留学に行けるほどの腕前ではないので、ドイツへ行くのなら今のタイミングしかないと思って行きました。

音楽総合コースに転籍して正解だった?

音楽総合コースはいろいろなコースが取れるっていうのはあります。でも、こういったらなんですけど、雰囲気はゆるい(笑)。いろいろ自由で、自由すぎるので、自分でやりたいことを探して、それを目標にやらないと、なにをやっているかわからなくなりそう。目標がはっきりしていると先生たちもサポートしてくれるし、自分の探していることを見つけられるとすごく楽しいコースだと思いますね。

「OTOTEN 2023」では大学でセミナー登壇。中村さんは2024年にもAES日本学生支部から登壇、イマーシブオーディオの録音作品を発表

留学前からの円安で生活費の確保が大変だったとか。「音楽のほか、美術館もたくさん観てきました。本物に接することはすごく大事だなと思います」